◎初夏の残夢に

静かに囁き掛ける言葉達
心は向かいどころを間違えて
何時も擦り抜け嘆くばかり

形のない物に
息吹きらしからぬ息吹を与え
今宵も再現できない

ただ魂の恍惚と情欲と
言葉の力を求めてばかり

途切れ途切れの魂の
切れ端求める遊泳の中で
懺悔ばかりが艶やかに
身を包んでは彷徨う有機体は
零れ落ちてく理性の波を
掻き分け掻き分け
身窄らしい人生の切り売りに
溜め息は光臨を得ずに
掃き溜めの中で狼狽える

何が答えなのか
解らないはずなのに
それが答えだと見せ付ける
己の亡霊に惑わされて
血潮に混じる雷鳴を
恥じる事なく高みに掲げ
不甲斐ない語彙との葛藤の中で
陰鬱に責め続ける諸行に
あざとく嗅ぎ分ける
己の裏腹に
また答えは闇の中

埋没していく感覚に
言葉の脊髄は脆く細く
魂は擦れっ枯らし
惰性の悔恨さえ
食い散らかしてく
私は哀れな言葉の亡霊

この思い何処まで空に打ち上げれば
解放への道を指し示すのだろう
ただただ膝を抱えて
顔を消してく
初夏の残夢

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