◎喪失 その壱

どんよりとした雲は
私の心を曇らせ
大事なものを失うことは
いつもの事

生まれて初めて買った玩具や
最後まで使おうと決めた鉛筆が
私の前から煙の様に消えて無くなるように
君は
さよならの言葉を残さず
私の前から消えた

泣くよりも先に
私の心は張り裂け
叫ぶよりも先に
私の顔は悲しみの笑顔に
掏り変わる

運命とは酷な物で
いとも簡単に
愛しき人を隠してしまう

大事なものを失うのは
瞬きの中の世界と同じ位早く
悲しみは
後から私を追いかける

だけど
泣いてなんかいられない
愛しいものを喪失するのが
私の避けられない
人生

喪失とは
いつものことで
愛しいものは
いつも私の前から消えてゆく

でも
君に拍手を贈ろう
だって
君は君の道を
歩いていったのだから

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