◎五変化生行

一応生きている。
空は何時でも流れる魚達だった。
髪はざんばら。
煙草の匂いがやけに懐かしい。
喰えるものは口に入れた。
通り過ぎる猫が笑う。
夢が何時しか歩くだけの長い道に変わった。
男だった。
女だった。
どちらでもよかった。
陰は光を超えて味を忘れた鯛の生け作りに会った。
日本人かも いやいや
一匹の獣。
風が止まる。
死を決意したのは五日前。
決行は昨日だった。
やたらと鎧が体に食い込む。
武者かも いやいや
性をなくした一匹の獣。
犬が二足歩行。
夢だ。
いやはや夢だった。
刀は今日も涕いている。
男だった。
女だった。
刀は死んでいる。
死を決意したのは五日前。
決行は昨日だった。
一応生きている。
武者やら男やら女やら日本人やら性をなくした獣やらを
背負いながら。
そして私は修羅になる。

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