鞘は朝から夢を見ていた。
時は斬新を守る。
鯵は炎を憧れて波紋を呼んだ。
夢と共に絡み合った世界。
鏡の中の水が跳ねる。
水草が夢を語らい
女を口説いたのは昨日。
真剣が唸る。
雷鳴は怒りと厳しさを呼ぶが
泪で曇った硝子を壊す事はできない。
お前は前から知っていた
刀と鞘とが戦争している事を。
夢は醒めた。
夜の静寂に坂なのは寝る音。
修羅には孤独を。
夜 気付いたのは真剣が踊り狂うこと。
夢よりも微かに現実が匂う時
審判魚が大地を蹴った。
鯵から抜き取られた刀は光を求め
闇を斬った。
斬った。
世界は揺らがない。
鞘は滑る。
滑稽なのは 姿 形 ではなく
心の駆け引き。
鯵が笑いを堪えて見た夢は大きい。
原子に咲いた花よりも
水の中の炭酸花の方が綺麗。
刀は血の匂いを引きずっていた。
光に勝ったのは やはり人間。
困った困った。
鯵の刀は人間に喰われる。
邪教を許した快楽を汝に与えるべし。
機械に勝ったのは機械魚。
夢を売った処女の生血を汝に与えるべし。
刀の行き場が無くなったのは午前三時。
間違いだらけの中での模倣。
人間を辞めたらおいで。
鯵の泪は古代の鎖。
刀は戻らない。
血の中に。
刀は知らない。
鯵の棘の中に。