◎堕胎する列車の写実

声の通らない終着駅で
(畏まって嘆くのは仏像の役目)
泪が踊る始発を待って
(化粧師の春かそれとも秋雨か)
彩り狂う 体言の
言葉の羅列から生まれる赤子

寒々と破裂する狂気
そこから流れ出る模倣
全てが良質の冗談から出た錆

(何もかもが正しいと言い切るのならば
 それを毛筆と石鹸で心行くまで表してみよ)

快楽の動詞を見つけながら
捨て去る正義感の路線
(見えない見えない石榴女の紅い誘惑)
轢き殺したはずの惰性が笑い
(知らない知らない煙草が惑う推理話)
日はまた昇り沈み崩れ

落花生の実の中で眠る可愛い夢よ
茶色い煎餅の昨夜を語りながら
感情の爆裂さえ小さな小宇宙の踊り子で
狂えなかった獅子舞が
何時まで経っても砂糖大学の鐘を鳴らす

紅い泪の白い痛みが
悔恨を呼ぶのか快楽を蹴るのか
まったく解らない便所の中で
落書きにも似た思考に
白い小犬の吐息を混ぜて

やっと開眼する言語製造快楽地獄の果てに
心が崩れて逝く楽しい姿を
黒い地図に紅い泥水で書き上げよう
(これが世界なのですか?)
(青信号皆で壊せば紅くなる)
(保証しない有耶無耶な知性の中で
 繰り返される情けない情報の波に
 抱かれて抱かれて堕胎され)
(さあ いよいよ頭から蒸気が立ち昇り
 連打する魂の共鳴の中で篩に掛けられた)
魂の言葉の祭典の腸捻転!

暗がりから静かに見詰める胎児の微笑み
静かに群がる金の小猫
朧気ながら乞う暴れるこの指先
狂うとは何か 信ずるとは何か 微笑むとは何か
感嘆符に載せた微妙な自動書記よりも
胎動に近い母性本能の中で
当たり散らされた過去からの夢の抜け殻
その中に見付からない白い葡萄酒で言葉を満たせ

いいかよく聞け言葉の魔術師
分断された心を縫合するには取り留めない甘い虚偽よりも
屈折な精神論と淡い桜色の抹茶が似合うのは至極当然で
いいかよく聞け言葉の魔術死
快楽を求めるのに腐った没落する気障な言葉を流すよりも
春の小川に流れる墓石を叩いていた方がまだ綺麗で
いいかよく聞け言葉の魔術詩
微妙に変り逝く人畜無害な心の動きを求めては
更なる恐怖と快楽と座薬が毎回目にも留まらない会議ばかり
開催して出演料を銀色の黄金蟲の背中に置いて行くから
いつだってなんだってどうだって
僕等と呼んでいる二足歩行的五足歩行信者がいつまでもいつまでも
にやつきながら涎で砂遊びばかり推奨

綺麗に纏めた思考の悔恨
炙れて行く肉体の権化
無色透明な念珠に隠れた凶暴な正義感
脳内にできた血の固まりと脂肪の固まりと脳髄の固まりの
悲鳴で目覚める冷笑失笑爆笑日曜
今回の荒波にお前が何を思うかなんて全く解るはずも無く
冷静に蔓延る一般常識なんて最悪で
野性に返った計算機
何処を見ても鉄屑にしかならなくて
人間の第三の六法全書に
相変わらず自然との核戦争ばかりが謳っていて
凍えてしまわないように握り締めた手の温かさ
こうやって嘘も真実も繰り返して泪が論争
いみじくも理ばかり断って
太陽の眼差し 月の抱擁
心は心は心は常に熱く脈打って

礼節を重んじた竹刀の中で繰り広げられた
接点の電気信号が
何時まで経っても覚えようとしない
興奮した強制される独自の
宗教と言う名の芸人の中で
目覚めようとしている

己の力量の範囲外での
嘆きに彩られた幸せをありのままに

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