◎侍

懐で笑った刀。
錆付いたのは己。
明け方に砕ける狂気。
髷を結う猫。
世界の迸る欲情に懺悔。
後悔と言う名の乳母車が疾駆する。
秘密な川辺で咲く管理帳簿。
崩れ始めた生活論理。
打破される論理と融合する干し葡萄。
お前もかと嘆く蓄音機。
全てが己を責める無添加材料。
品質保持期間は那由他の証。
帯から蛇に繋がる道に
いそいそと笑顔を量産する嘘。
斬る。
快楽と悔恨。
そうやって被害者ぶる冤罪大好き紅蜥蜴。
鞘鳴りの響く音は霜降りを産む。
気違いだった。
赤い空から紫の雲が降り注ぐ時
核と言う名の女体が艶めかしく愛撫し
自由主義の没落邸宅を完全に再建しつつ
勘違いも甚だしい夢想家を育てた。
悔やむなら熱い抹茶を頭から浴びるがいい。
取り止めもない現実の中で自殺の行列。
羽織袴はいつでも冬眠。
腰に差した刀は今日も笑う。
日本人の心は牛肉で途絶える。
薬の効能は幻覚誘発だけ。
誰もいない居間。
誰も知らない寝室。
お前の刀は錆びている。
日本人の心は金で腐った。
お前の刀は死んでいる。
安土桃山時代に滑り込んで涕いてこい。
振りかざした狂気の行く末も解らずに
何時まで経っても子供染みた怒号ばかり愛するから
守るべき物も守れない農民で安酒を頬張るのだ。
斬れ。
今すぐ斬れ。
甲冑で隠した良識を引き摺り出せ。
階段を上るは名も無き沈丁花。
悲しみくれる洋菓子が嫌い。
篭った思いは乾燥機の中で回り
それを笑って見るから侍の何たるかを
忘れてしまうのだ。
生きろ。
そして斬れ。
何を斬れば良いかなんて聞くだけ腐った日本男児。
懐で笑った刀。
錆付いたのは己。
明け方に砕ける狂気。
雷鳴の如く自害を進めたのは三角鶏。
無形固定資産の狂乱が吉。
喚いた牡丹の色気に臨終。
刀はお前の前にある。
刀はお前の前にある。
刀はお前の前にある。
刀はお前の前にある。
何故気付かない。

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