◎夢恋歌

そう言えば
貴女と話した夢の中
妙に風景が
波打って

冬の冷たい風に乗り
貴女が私の手を握った時
(そう 忘れもしない 新雪の
 遠目に映る 白絨毯)
奇妙にも胸が破裂する勢いで
確実に目が潤み始めて
(あら 奇遇 無け無しの勇気
 派手に見える 心は化粧)
走る時間の尾を掴み
夕日が海に隠れる頃に
貴女が笑った 貴女が笑った
紛う方なき純真で
(ええ 世界は妙に余所余所しくて
 二人はいつまでもいつまでも 熱くて)

貴女が忘れた明日の日々を
灯す力は弱くとも 迷い迷って幾星霜
この身が絶えても恋火は絶やさず

(あらあら 歴史に名なんて 残らぬのに
 どうしてどうして 恋花は
 散り際忘れて 艶やかに
 おいそれと零す 泪の 奇跡
 称えて 喜ぶ 嬉々の宴)

そう言えば
貴女と話した夢の中
妙に風景が
波打って

この詩に感想を書く          一つ上に戻る