◎忘却の回廊を彷徨いながら

感情に訴え
貴女の涙を一つ一つ数えてみても
色あせた写真みたいで
昔を慈しむ事しかできなくて

未だにあの時の
泪の理由が解らない僕は
貴女が立ち尽くした
あの場所で
何も出来ないでいる

「愛しているから」なんて
まるで舞台台詞のようで
私の心だけを晴れさせようとしていて
最終的には 何の糧にもならなくて

ねえ 私は
上手く貴女を見詰めていたかい?
ねえ 私は
優しく貴女を包んでいたかい?
ねえ 私は
必要な言葉を渡せていたかい?
ねえ 私は
愛と言う名の言葉の魔力に溺れていたかい?

答えなんて返って来ない事は知っているのに
なんで貴女の笑顔だけが眩しくて
なんで貴女の最後の言葉を
飲み込めていなくて

教えて 大切な貴女よ
私は今もちゃんと歩いているか
教えて 愛しい貴女よ
私は何か変わってきているか
教えて 狂おしいほどに愛し合った貴女よ
未だにあの時の
貴女の泪を後生大事に胸に刻みながら
貴女が立ち尽くしていたあの場所で震えているのは
どうしてなのかを…

この詩に感想を書く          一つ上に戻る