◎夏の蝶

貴女の匂いを
嗅ぎました
貴女がいるはずも無い
街角で

一瞬にして
過去に心は飛ばされて

貴女と並んで歩く私や
貴女と笑っている私や
貴女にさよならを言っている
沢山の私を
私は擦り抜けて

少しだけ
そう少しだけ
胸が痛みました
傷はすでに
消えているのに

まだ貴女は
夏の蝶の様にいろいろな華の蜜を
味見して飛びまわって
いるのでしょうか

かろやかに
かろやかに

貴女の匂いを
嗅ぎました
貴女がいるはずも無い
街角で

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