風がやたらと囁いていたのは
貴女の心変わりの瞬間
雨が何やら呟いていたのは
貴女が誰かに微笑んでる時間
静かに世界が揺らぎだした
私の世界と貴女の世界が少しずつ
摩擦を起こし
沈黙すら鋭く冷たい刃となる
貴女の中に存在していた私はもう
心の隅にあるであろう牢屋に幽閉されて
私の中に存在していた貴女はもう
さっさと旅行鞄に荷物を詰めて旅に出る
こんな筈ではなかったと
三文役者の台詞をまじめに吐き出しても
何も変わる事はなく
自棄酒を熱望しようとも
財布の中で泣く金は微々たるもので
何もする事がなく
ただただ破局を迎えた後の楽しい生活を
なんとなく思い描いているだけ
しかし願える事なら
あの瞬間に戻りたい
貴方が泣いて現れた時に私は頷く事しかしなかった
あの夜に
河が奏でていたのは
貴女の心が崩れて行く音
山が笑っていたのは
私のどうしようもない幼さ