◎雪の精へ

雪の積もる音に
貴女は私の胸の中で
静かに聞き入って

そして言ったね
溶けて醜くなる運命
だけどその最後の時まで
綺麗に美を彩ろうとする
その健気さを私は持ち続けたい


静かに涕いた
悲しいとか切ないとか
そう言う高尚な思いでじゃなくて
ただ溶けていくその姿に
貴女は自分を重ねて

私はそれでもいいと思った
例えこの先
年を取り醜くなっていく当たり前が
貴女を包むとしてもそれが私にとって
なんの障害になるのか?


雪が落ちるその過程で
磨かれていく摩耗が綺麗な結晶となって
白い大地を形成していく
その理と
貴女の感じてきた想いや足取りや時間が
貴女を彩り素敵に形成されてきた事を
私は体温と想いで
知っているから

雪積もる晩に
貴女と抱き合い
その確かな軌跡を感じる

貴女はきっと
これから先も
美しくそして永遠に
溶けない雪となって
私の心を包む

雪降る晩に
そう願いながら
強く強く強く
貴女を静かに抱きしめた

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