雪の積もる音に
貴女は私の胸の中で
静かに聞き入って
そして言ったね
溶けて醜くなる運命
だけどその最後の時まで
綺麗に美を彩ろうとする
その健気さを私は持ち続けたい
と
静かに涕いた
悲しいとか切ないとか
そう言う高尚な思いでじゃなくて
ただ溶けていくその姿に
貴女は自分を重ねて
私はそれでもいいと思った
例えこの先
年を取り醜くなっていく当たり前が
貴女を包むとしてもそれが私にとって
なんの障害になるのか?
と
雪が落ちるその過程で
磨かれていく摩耗が綺麗な結晶となって
白い大地を形成していく
その理と
貴女の感じてきた想いや足取りや時間が
貴女を彩り素敵に形成されてきた事を
私は体温と想いで
知っているから
雪積もる晩に
貴女と抱き合い
その確かな軌跡を感じる
貴女はきっと
これから先も
美しくそして永遠に
溶けない雪となって
私の心を包む
雪降る晩に
そう願いながら
強く強く強く
貴女を静かに抱きしめた