◎水溶性な午後の一幕

緩やかに午後
貴女が溶けたから

掬った掌にいっぱい
貴女の匂い
溢れてて

日向の匂いに混ざり
私は夢見心地で
貴女を集めるけど

貴女は笑って擦り抜ける
両手一杯の穏かな日々
そっと触れながら

穏かに春
貴女は溶けて
笑い掛ける
愛しく
優しく

零れた貴女は
大地にそっと
一輪の花を咲かせては
私を驚かせ

そして

また私の掌で
眠りに就く

穏かに穏かに
世界中に貴女の匂いを
染み込ませながら

緩やかに午後
貴女が溶けた
私は静かに掬いあげ
貴女はまた
世界を潤す

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