◎欠けた爪

割れてしまった爪の先
ざらつく感触が
どこか悲哀に満ちて
何度も指の腹で摩っている

遣り場の無い違和感
爪の先に生まれた
幽かな生命の痕跡
滑らかな指の腹
何故か哀れで泪が溢れ出すから

(壊れた指先 欠けた爪で)

何回も掬うけれど
僅かに狭くて

(欠けた爪 壊れた指先で)

気付かない様に願ってた
何からなんて見当も付かないけれど
きっと生命の入り口な
泪の味の奥底で

(壊れた指先 欠けた爪で)
(欠けた爪 壊れた指先で)
(溢れた泪 零れた泪)
(忘れた私 隠してる私)

何からなんて見当も付かないけれど
気付かない様に願ってた
割れてしまった爪の先
遣り場の無い違和感
否応無しに脈打つ血管

何故か哀れで
泪が溢れ出すから

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