鬼気迫る
苺大福を食べながら
意気揚々と涕いた
あの日
春の湿った
優しさを眺めながら
傍らで眠る
雷の幼子を撫でる
撫でる
季節ががらりと変わったあの時
私の中で何かがざらりと飛び
名前の無いお前がごろりと笑ったから
私の胸がぎろりと
涕いたのだ
楽観視して
見送った昨日の嘘と
濡れそぼった老婆に似た冬の幻を
諸手を挙げて投げ出した
鬼気迫る
苺大福を食べながら
忘れ掛けてる
爆裂するあの日
私の記憶の中でごとりと
固形になって
落ちて行く
堕ちて行く
落ちて行く
堕ちて行く
落ちて行く
どっちも結局
苺大福の鬼気迫る
涕き顔には
適わない