◎夜物語

愛しい世界を願うと
どうしても貴女の
寝顔がくっきりとくっきりと
この心を温めるのです

例えそれが
私の気の触れた
産物だとしても

愛しい世界を望むと
知らず知らずに貴女の
寝息がはっきりとはっきりと
この胸を包むのです

例えそれが
寝る前に読んだ
夢物語の残像だとしても

手にとって解るだけの
愛しい世界よりも
寄り添って感じる
愛しい世界が
とても大切なんだと
貴女は貴女の全てで
教えてくれた

気付かないうちに
そっと そっと

でも私は何故
貴女の世界の中に
ゆったりといるはずなのに
こんなに不安を
絶え間ない不安を
感じてしまうのだろう

嗚呼 愛しい貴女よ
今夜はどうか私の手を握り
優しい夢を見させて下さいな

春の夜に散る桜は
どこか哀し過ぎるから
私の夜はいつも
不安が犇めき合っているから

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