誰かの眠る
墓前の前で 一時
酒をだらしなく
零しながら
恭しく俯けば
一頻り涕いて
気が済むまで涕いて
日の沈み加減や
雨の匂いを纏う風の悪戯
忘れる程に
どこからかカラカラと笑う声がする
(立ち止まる場所は
ここではないと
悔やみ続ける場所は
ここではないと
何処までも果てしなく
己が信念を貫けよと)
風の様でもあり
気の所為でもあり
嗚呼 心を擽る
懐かしい声が
遠い過去に隠れた
懐かしい声が
カラカラと響く
誰かの眠る
墓前の前で 一時
酒をだらしなく
零しながら
ただ聞き惚れていた