◎夜の唄

吸い込まれていく
狂気の様な
今朝の温もり

日差しは
徐々に夜空を侵食しながら
独り夢想する男に
新たな世界観を
約束する

流れていく
何処かで咲き誇る
未完の感情が
しとしとと
朝霧を真似て
沈黙を願い
頓挫する希望は
未だ夢の中

人々の呼吸が伝える
朝の区切りが
空々しくてただ
紆余曲折が
大好きな寝床に
身を預けては
裏切りに塗れて

嗚呼 夜に華開く
この思考の
欠片が満遍なく
夢想に囚われた男に
純情と貞操と嘘を
ゆっくりと
光らせる

雁字搦めで溺れていく
今宵に 深夜に 静寂に
吸い込まれていく
狂気の様な
今朝の温もりが
素肌に斜めに
刺してくる

目覚めは遠い過去に
遊戯と螺旋に絡まって
約定と欺瞞が重なって
何か得体の知れない
正義を撫で付けた

ただ 夜と言うだけなのに
ただ 命が震えているだけなのに

(睡魔がそこで眠ってる)
(夜が静かに笑いかける)

寝床は冷たくて
寝床は冷たくて
夢想に愛を囁く男は
陽炎のように
瞼に逃げ込んで
固まる

寝床は冷たくて
寝床は冷たくて

この詩に感想を書く          一つ上に戻る