◎残夢

流れていく景色と
貴女と過ごした時間が
恋しくて今も独り
窓辺で佇む

後悔も希望も
何処か遠くの世界の
物語の様で
今も俄かに心を撫でる

貴女が差し出した
その手の温もりがまだ
この胸にいるから
今も尚貴女を想い
時間の流れに逆らって

あの時
貴女は確かに側にいて
確かに微笑んでくれていて
その瞬間が全てを包んで
時間の流れがとても
とても優しくて

貴女の残像に
心揺れながら今も
静まり返る街並みを眺め
そっと生きている

確かなものは
確かに受け取ったあの時
心の揺れは確かにあって
そこばかりに
しがみつく

情けないなと苦笑いしつつ
若い味の酒に
夜を任せた

流れていく景色と
貴女と残していった時間が
恋しくて恋しくて
今も尚その残務を掴もうと
生きている

貴女は確かに
その時 傍で確かに
存在していた

この人生の中で
確かに貴女の欠片は
ずっと心を撫でている

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